歯科医院で行うボツリヌス療法とは、ボツリヌス菌が産生するたんぱく成分「ボツリヌス毒素(ボツリヌストキシン)」を筋肉内に注射する治療法です。
ボツリヌス菌そのものを注射するわけではないので、ボツリヌス菌に感染する危険性はありません。
歯科医院におけるボツリヌス療法は、外見だけにフォーカスする美容診療とは異なり、「医療」としての治療となります。
◯歯科医院におけるボツリヌス療法
▶咀嚼筋(主に咬筋)
▶オトガイ筋
▶上唇挙筋、上唇鼻翼挙筋
歯科医院で行うボツリヌス療法は、噛む力をコントロールできるようになることで、歯やお口に関するさまざまな問題を改善する手助けとなります。
また、違和感が強くてマウスピースを装着できない患者さまや、認知行動療法、運動・理学療法などを行うのが難しい患者さまにも有用です。
最近では脳性麻痺の患者さまの口腔ケア向上や吸引チューブ破損防止、うつ病の患者さまの筋緊張緩和など、多くの場面で歯科のボツリヌス療法が活用されています。
口唇閉鎖不全を改善するために治療によって鼻呼吸を促すことで、口腔内の乾燥の減少、唾液の自浄作用向上、歯の着色や汚れの減少、下顎前歯の唇側傾斜防止なども期待できます。さらに、治療によってガミースマイルが改善されると、歯の着色や汚れの付着減少、上顎前歯部の歯肉炎の改善、コンプレックスの解消などにも効果がみられます。
◯ボツリヌス療法のメリット・デメリット
▶メリット
- 反復治療によって効果の持続期間が長くなり、投与間隔も広がる
- 薬物療法(例えば、鎮痛剤など)の減量あるいは中止ができる
- 副作用が起こる確率が低い
- 歯科においては施術時間は数分程度
▶デメリット
- 効果をさらに出したくても、基本的には投与してから2ヶ月ほどは抗体産生防止のため追加できない
- ボツリヌストキシンに限らないが、異物の注入によって軽度のアレルギー反応を起こすことがまれにある
- 製剤は厚労省認可、FDA(米食品医薬品局)認可、KFDA(韓国食品医療安全庁)認可など製剤の安全性が確立されている製品を使用することでリスク回避できる
◉ボツリヌス療法の適用例
【食いしばり、かみしめ、顎関節症の治療】
「こんな症状ありませんか」
- 歯ぎしりの自覚がある、または指摘される
- 夜間、食いしばりで目が覚めたり、眠りが浅いと感じる
- 日中、気づくと食いしばっている
- 起床時に顎がだるい
- 肩こり、首こり、頭痛がある
- 顎が痛い
- 写真を撮ると、フェイスラインが左右非対称
- 冷たいもので常にあちこち歯がしみる
- 入れ歯を何度調整しても時間が経つと歯ぐきが痛くなる
- 骨隆起がある
◯価格:咬筋(ブラキシズム、顎関節症)
- 初回 33,000円(税込)
リタッチ初回のみ2ヶ月以内18,000円(税込)
- 治療期間:患者様の健康状態により、治療期間に個人差が生じる場合がございます。
詳しくは担当医までお問い合わせください。
- 内出血・腫れ・痒みが生じる可能性があり、注射の痛みが生じる場合がございます。また、アレルギー反応が起こる場合がございます。
◯治療の流れ
- 問診・触診・視診
必要に応じて、筋電計で咬筋の活動量の計測を行います。
症状によっては、歯科治療を必要とする場合もあります。
(※歯科治療が必要な場合、かかりつけの歯科医院さまがある方はそちらで処置を、かかりつけの歯科医院さまがない方は当院で処置も可能です。)
- 施術
数分で終わります。
当日の施術後の注意としては、
・激しい運動はしない
・長湯やサウナを控える
・多量の飲酒をしない(晩酌程度でしたら問題ありません)
・注射した部位を強く揉まない
上記のことに気をつけていただければ、直後からのお食事も全く問題ありません。
- 2ヶ月後のチェック
効果が十分に出ているか、左右のバランスが取れているかなどを確認し、必要があれば追加で注射をします。
- 半年〜1年後のチェック
状態を確認して、再治療が必要か検討します。
患者さまによっては、1回の治療で長期的に効果が出る場合もあります。